建物の耐用年数は、不動産投資をしている人なら絶対に知っておくべき最重要ポイントのひとつです。
耐用年数について知らないと、不動産の価格が適正かも判断できないし、不動産を売却するべきタイミングが分かりません。
さらに不動産購入後の税金、つまりは不動産投資の収益率を表す利回りにも関わることなのです。
この記事では、耐用年数について簡単な言葉でわかりやすく説明します。
耐用年数とは?

耐用年数は、正式には法定耐用年数といいます。
法定耐用年数は、法律で決められた「ものの寿命」の目安。
対象となるものを使用した際に、問題なく効果を発揮するであろう期間です。
不動産だけでなく車やカメラ、パソコン、工業用の機械などあらゆるものに設定されています。
耐用年数は法律で定められた寿命であって、実際に使用できる期間としての寿命とは違います。
例えば、パソコンの耐用年数は4年と定められていますが、普通の使い方なら4年では壊れないでしょう。
耐用年数は資産価値を維持できる期間、と考えると分かりやすいかもしれません。
耐用年数と税金の関係
耐用年数は税金と深い関係にあります。
事業者は、10万円以上のものを購入すると「減価償却」という方法で帳簿に経費計上しなくてはいけません。
例えば仕事で使うパソコンを20万円で買った場合、購入したときに全額を経費として帳簿につけることはできないのです。
パソコンの法定耐用年数は4年なので、20万円を4年に分けて経費にしなくてはいけません。
つまり、経費にできるのは1年につき5万円。
経費にできなかった残りの部分は「資産」として扱われるのです。
1年目は5万円を経費にできるからなら残りの15万円は固定資産、2年目なら10万円が固定資産となります。
減価償却による2種類の節税効果
不動産投資では、減価償却による2種類の節税の考え方があります。
- 所得税の節税
- 短期間での減価償却による節税
それぞれ詳しく解説していきます。
所得税の節税
ひとつめは、所得税の節税です。
一定の条件を満たしていれば、不動産投資は所得税の節税効果を発揮してくれます。
給与所得者である
所得税が高い
副業で不動産投資する場合、多くの人は本業で給与所得を得ているかと思います。
不動産投資で赤字になってしまったら、確定申告するこで「損益通算」ができるので、節税につながるのです。
損益通算で不動産投資による損失を所得から控除することで、所得税が少なくなります。
確定申告の青色申告では、赤字を3年まで繰り越すことが可能です。
短期間での減価償却による節税
もうひとつは、短期間での減価償却による節税です。
この節税方法は主に、不動産投資での所得が多い専業大家さんが使っています。
ポイントは、築年数の古い物件を買うことです。
築年数の古い不動産は、減価償却の期間が短くなります。
■減価償却期間の計算方法
(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%
■残耐用年数がない建物の減価償却期間
法定耐用年数×20%
耐用年数をオーバーした木造の建物は法定耐用年数が22年なので、上記の式に当てはめると4年で減価償却することになります。
もしも建物価格が1,000万円だとしたら、1年に経費計上できる金額は250万円です。
短期間で減価償却するということは、1年ごとに経費計上できる額が大きくなるということ。
所得が多く節税したいと考えている投資家は、中古の木造アパートを買うことで節税しているというわけです。
不動産投資における耐用年数の重要性

不動産投資では、税務的な面だけではなく金融機関でローンを組む際にも重要なポイントです。
一般的に、ローンの融資期間は「法定耐用年数-築年数」だといわれています。
実際にはさまざまな要素を併せて融資条件を決めますが、不動産投資をしていくうえで建物の耐用年数は重要な目安です。
不動産を売却するタイミングを判断する際にも、耐用年数が関わってきます。
耐用年数が長く残っているほど資産価値が高いので、高く売却できるし買い手も付きやすいでしょう。
建物の種類別耐用年数と特徴

建物の耐用年数は構造によって異なります。
構造は木造、鉄骨構造、重量鉄骨、軽量鉄骨、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造の6種類です。
それぞれの特徴と併せて解説していきます。
木造の耐用年数

木造住宅は、柱や壁などの主要な構造部分に木材を使用している建物のこと。
日本の戸建て住宅ではもっともポピュラーな構造で、2階建てのアパートなど小規模な建物にも多い構造です。
木造はW造(Wood造)と表記されることもあります。
耐用年数は22年。
メリットは他の構造よりも建築費用を抑えられることで、デメリットは耐久性がコンクリート造に比べて弱いこと。
他にはシロアリにくわれたり、自然災害でも影響を受けやすいという点があります。
鉄骨構造の耐用年数

鉄骨構造は、文字通り骨組みが鉄や鋼でできた構造です。
鉄骨構造の中でも、重量鉄骨と軽量鉄骨という種類があります。
鋼材の厚さが6mm以上だと重量鉄骨造、厚さが6mm未満だと軽量鉄骨と呼ばれます。
重量鉄骨造は軽量より頑丈で、高層ビルの建築にも採用されます。
軽量鉄骨の耐用年数は、鋼材の厚さが3mm以下だと19年、厚さが3mm超4mm以下だと27年です。
重量鉄骨造は34年となっています。
鉄骨はS造(Steel)とも表記されます。
メリットは、鉄骨系の住宅の中では1番リーズナブルなこと。
軽量の鉄骨造は工事にあまり時間がかからないメリットもありますが、強度面は木造と大差はありません。
鉄筋コンクリート造の耐用年数

鉄筋コンクリート造は、熱に弱い鉄筋をコンクリートで覆い耐久性をアップさせています。
RC造とも呼ばれ、Reinforced Concreteの略で、強化したコンクリートという意味です。
大きなマンションやビルに使用されます。
メリットはもちろん耐久性の高さで、耐用年数は47年です。
耐火性・耐震性・防音性もバッチリ。
デメリットは建設費用が高いこと、工事に時間がかかることです。
通気性もあまりよくありません。
鉄筋鉄骨コンクリート造

鉄筋鉄骨コンクリート造は、Steel Reinforced Concreteを略してSRC造と呼ばれています。
鉄骨を鉄筋とコンクリートで覆っているため、強度が高くもっとも安全な構造といえます。
RC造と同じく、耐用年数は47年です。
超高層マンションなど、大規模な建物はほとんど鉄筋鉄骨コンクリート造でつくられます。
デメリットはやはりコスパが悪いこと、そして工期が長いことです。
耐用年数の一覧表とまとめ
不動産投資において、建物の耐用年数はとても重要です。
耐用年数を知らずに不動産を購入すると損をする可能性があるし、金融機関でローンを組む際にも知っておいた方がスムーズに進みます。
人によっては所得税の節税効果があったり、中古物件を購入して短期間で減価償却したりと、税金とも深い関わりです。
耐用年数と税金の仕組みをしっかり理解して上手に活用することで、不動産投資のメリットを最大限に生かせるでしょう。
不動産をいつ売却するのか、立て直すのかといった不動産投資戦略も計画的に考えられます。
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