先日、千葉県で良さそうな1棟アパートを発見しました。
1SLDKが3戸・2DKが12戸の重量鉄骨造、バストイレ別でその他の室内設備もばっちり。土地は約1000m2でなんと4500万!
8000万円から大幅値引きしたとのこと。
「大幅すぎるでしょ!怪しい!」と思いつつ、とりあえずアパート内の写真やレントロールを送って欲しいと問い合わせ、値下げの理由も質問してみたところレオパレス物件だということが分かりました。
初めてレオパレス物件に出会い「界壁問題は今どうなってるんだろう?」と興味が湧いて来たので、改めて調べてみました。
レオパレスの界壁問題って?
2018年5月に放送されたガイアの夜明けによって世間に知られることとなったレオパレスの界壁問題。
界壁とは、アパートなどの集合住宅で隣合わせの住居を区切る壁のこと。
通常、界壁は部屋から天井裏または小屋浦まで達していなくてはいけませんが、レオパレスの多くの建物が界壁がなかったり、建築基準法の基準を満たしていなかったんです。
界壁は隣家の音漏れを防いだりするだけでなく、火事が起きたときに延焼を防ぐ役割があるため、大きな問題となりました。
(長屋又は共同住宅の各戸の界壁)
第三十条 長屋又は共同住宅の各戸の界壁は、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。
一 その構造が、隣接する住戸からの日常生活に伴い生ずる音を衛生上支障がないように低減するために界壁に必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものであること。
二 小屋裏又は天井裏に達するものであること。引用元:e-gov法令検索
レオパレス側はガイアの夜明けで番組が放送される2ヶ月ほど前に、レオパレスのオーナー2名から界壁問題について話を聞いていたにも関わらず対処をしていませんでした。
そしてガイアの夜明けの放送直前に緊急会見を開いたのです。
そこで、界壁問題の原因は施工業者の認識の間違いだと主張。
施工業者たちは「界壁はなくていい」とレオパレス側から言われていたと反論しました。
その後、2019年のレオパレスの会長の会見では1324棟で施工不良が見つかったと報告。
国土交通省も、1895棟の建築基準法違反を確認したと発表しました。
界壁以外の問題も発覚
この界壁問題を受けてレオパレスは全棟調査を実施。
そこで、界壁意外にも施工の不備や建築基準法の違反が続々と見つかりました。
外壁の断熱材にグラスウールを使用と申請していたのに、発泡ウレタンを使用したり。
アパートの天井の石膏ボードは2枚張りにしなくちゃいけないところを1枚張りにしてたり。
界壁に使う石こうボードの種類・厚みなどが耐火構造仕様に適合していなかったり。
レオパレスの建築不備でオーナーが被害を被ったのはもちろんのこと、住み替えを余儀なくされる不備対象物件の入居者も大勢現れました。
界壁問題の対象物件
界壁問題の対象物件は以下の8種類のシリーズです。
・ゴールドネイル
・ニューゴールドネイル
・ゴールドレジデンス
・ニューゴールドレジデンス
・ニューシルバーレジデンス
・ベタースチールレジデンス
・スペシャルスチールレジデンス
・コングラツィア
2020年11月にレオパレスは改修工事の進捗状況を発表していました。
明らかな不備棟総戸数216,270、要改修等が195,325、改修完了41,734、とのこと。
レオパレス物件のいま
昨年末、レオパレスがアパートオーナーと保証する賃料の見直し交渉に入るとのニュースが報じられました。
レオパレスが家賃減額交渉https://t.co/dLCnK8ebws
レオパレスはオーナーから一括で借り上げた物件を企業や個人に貸し、空室かどうかにかかわらずオーナーへ家賃の支払いを保証している。
施工不良問題で入居率が低迷。春以降に更新の物件で減額交渉を行う方針。
オーナーの反発も予想される。
— 産経ニュース (@Sankei_news) December 21, 2020
レオパレスはサブリース契約でアパートオーナーたちに対して家賃保証をしていました。
サブリースとは、アパートの持ち主である大家さんからレオパレスが部屋をまとめて一括借り上げして、また貸しをすること。
レオパレスからオーナーさんに届いた泣き落としのお手紙をいただきました!来年4月に下げるからお前らちょっとは覚悟しとけよ、とのことです。 pic.twitter.com/McYd6PEX0M
— どエンド君 (@mikumo_hk) December 21, 2020
2021年の4月ごろから家賃を減額される模様です。
そのため、私が見つけたレオパレス物件はあんなに安くなっていたんですね。
家賃収入が減る前に売りに出しているオーナーさんは多いかと思いますが、レオパレスという肩書きによってなかなか売却は難しそうです。
以前から、最長30年の家賃保証・10年減額なしを謳っていたものの、家賃収入の少ないアパートは減額を言い渡されたりしていたようですが。
界壁問題以外にも賃料の減額のやり方などに問題があったレオパレスですが、当時の取締役は解任され、現在はソフトバンク系の米投資ファンド、フォートレスの傘下になりました。
レオパレスは海外のホテル業をやっている会社に売り飛ばされるのでは、など噂は色々とありますが。
とにかくレオパレスの経営が立ち直って、アパートオーナー達の損害も最小に抑えられることを願います。
レオパレス物件を買うのはアリ?
私も一瞬、こんなに安いならレオパレス物件を買っても良いのかな?と思ったのですが…
そもそもレオパレス物件は銀行での融資がつきづらいので、資金が豊富ある人じゃないと難しいでしょう。
それに界壁意外の問題が出てくるかもしれないし、わざわざ危険を犯す必要はないかと。
施工業者とかなら自社で工事ができるから良いかもしれないですけどね。
どうしてもレオパレス物件を買いたいなら、建物の内側のことは素人じゃわからないので、ちゃんとホームインスペクション(住宅診断)を実施することをおすすめします。
界壁問題まとめ
以上、レオパレスの界壁問題のいまでした。
正直なところすっかりこの件について忘れていましたが、レオパレスとアパートオーナーにはまだ「現在のこと」なんですね。
不動産投資は知識を持っていないと危険ということを再認識させられました。
不動産投資界にうっかり片足突っ込んでしまったみなさん、レオパレス物件を見つけたら注意をしましょうね〜!